How to make the VR television
昨年のMFT2017ではVRテレビのVer1を出展し、多くの人たちに体験していただきました。
今年のMaker Faire Tokyo 2018ではVRテレビのVer2として、ペーパードームの小型半球ドーム「HD150」を使って、試行錯誤しながらプロトタイピングする姿をそのまま見せることで、開発ツールとしてのペーパードームの可能性が垣間見える様な展示にしてみました。
なお今回展示に使用したドームは、会場の都合「防炎段ボール」を使用しています。※形状&サイズは「HD150」と変わりありません。
正直、ドームコンテンツやドーム映像のアプリケーションはまだまだ開発途上で
多くのコンテンツプロバイダも興味は有れど市場性を探る段階だったり、とりあえず手を出してみるという段階にも入っていない状況の様です。
そうした状況の中では、段ボール製で自分で切ったり貼ったりが気軽にできるドーム型スクリーン「ペーパードーム」は、プロトタイピングツールとして低コスト&軽量&カスタム性の高さから開発ツールとしての優位性が高いと感じていますが、実際にどう使われているのか?はなかなか表には出てきません。
そこで、今回のMFTでの展示は、自分が鏡面ミラーを使った低価格のドーム映像投影装置「VRテレビ」を作る姿をそのままディスプレイすることにし、そのカスタム性の高さと、それにより齎されるスピード感を目に見える形で展示することにしました。ちなみに今回のMFTのために使えた時間は5日&僕自身のドーム投影の経験は完全趣味で…1年くらいです。
方針を決める
まず最初に去年の反省です。昨年モデルは、パッケージにすることに拘ったため汎用性が低くyoutubeの360度動画の中央部付近を大きく見るためだけのモノで、もし生産したとしても高コストが必須のものでした。そこで、今年のモデルは既に製品化済みの製品をカスタムする方向で汎用性を保ち、アプリケーションによってカスタムが容易な形にしました。が、それだけだと進化が見えないので、同じ鏡面ミラーによるドーム投影方式でも、より高い没入感を求めて映像自体に加工を施すことにしました。
最初は上部に投影システムを配置していました
写真左上のスケッチの通り、HD150を少し傾けることで投影面が影になる様にしつつ消防指導に沿ってスプリンクラーの影響がない様に設置することにしました。この状態で投影テスト(グリッド表示)してみたところ、比較的良好な結果が得られましたが、MFTの現場での短い設置時間(約1時間)で一人で設置&投影のセットアップまで行うには難しい&重いプロジェクタのスタンドが倒れたら危ない〜という安全面も加えて、上部に投影システムを設置する案は没になりました。※別機会のための試験ができたのはよかったです。
下部投影方式に変更
調整のし易さと安全性と低コスト化を求めて、投影システムは下部に移動しミラーは普通に手に入る直径30cm程度のアクリル半球ミラーを選択。ドームの中心位置がコドモがドームの前に立った場合に視点高約120cm(オトナが椅子に座った場合の視点高にも近似)に合わせてドームとミラーとプロジェクターの位置関係を導き出し、現場で「HD150」に取り付けるだけでセッティングが終わる様に準備しました。
投影ソフトとかは?
今回は手でナビゲーションできる様にしたかったので、Leap motionをドームの手前に設置して、手を左右に動かす事で左右を見渡せる様にしました。
投影ソフトとしてはvuoというVJ用のソフトにLeap motion用のモジュール(上図の青い部分)を入れて、投影画像を半球ミラーに反射させると丁度良くドーム内に投影される様にPaul Bourke氏の球形data(上図の紫の部分)を読み込んで、THETAなどの360度撮影できるカメラで撮影したEquirectangular形式の動画(上図のグレーの部分)をインタラクティブに操作できる様に(一番右から下の青い部分に戻)しています。
このvuo、昨年のブラックマンデーかなにかで安い時に買っておいたものなのですが、使ってみるとAppleのQuartz Composerみたいな感じで使いやすいソフトなので、ちょっと使い込んでみたいと思いました。
さて、こんな感じで組んで作って展示して体験してみた皆さまの感想は…
- こんな簡単な仕組みで面白いね。
- 視点が高くて怖かった<これが一番嬉しかった。
- 暗いエリアでやれば良いのに
- この明るさで、これだけ見られれば良いね〜
- 自分で撮った動画を直ぐ見られるの?
- Youtube360動画は見られるの?
など、比較的すぐに使ってみたい〜という感じの感想をいただけました。もちろん暗いエリアでの展示も考えたのですが、今回のMFTokyo2018は「ダンボール大学 PTS」の一部として展示していたので、もの凄い明るいエリアでの展示であることが分かっていました。それでオーバーハングする形で展示したのですが、逆に「この明るさでココまで見られる」ということを知っていただける良い機会にもなりました。
さて、もうダンボールドームの展示は3回行ったので、次回は全く違う形の出展を目指します。来てくれた人、体験してくれた人、ありがとうございました!
なお今回のmake道場の展示は、以下の2社にご協力いただきました。