フルドーム内全周投影用アダプターを作ってみた!

フルドーム内全周投影用アダプターを作ってみた!ペーパードームという段ボール製のドーム型スクリーンを開発&販売しているのですが、投影する仕組みはなく&開発する気もなく1年が過ぎた位に、ドームフェスタという、ドーム好きな人たちの集まり!的な名前のイベントに参加したところ…
そこでニコニコ動画のプラネタリウム部(以下、ニコプラ部)の人たちに出会い、なんとその場でペーパードームの中に全周映像投影をしてみせてくれたのでした。

ドームフェスタでニコプラ部と出会うニコプラ部の皆さんは、プロジェクターの投影部分に広角レンズコンバーターを取り付ける手作り装置を設置して光をドーム内に拡散して全周投影を実現していました。
自分でも〜と思ったのですが…その後、コンバーターとプロジェクタの相性などがある点などが分かって、なかなか手が出せませんでした。
実験会ところが、ペーパードームのデモの為に急遽投影環境を整える必要が生じ、コンバーターとプロジェクター(自分で選ぶ必要がありました)をお借りし、急遽アダプターを作ることになりました。

以下はその制作メモです。

まず、作る上で心がけたのが
(1)予算と時間をかけない、(2)微調整できること、(3)今後の制作に役立つこと、(4)組立式なこと。
(1)の「予算をかけない」は、コンバーターもプロジェクタも自分の物ではない為、今回の機材でガッチリ作ってしまったら、将来自分がシステムを組む場合に無駄になる可能性があるためと、今回投影環境を整備してデモしたところで、取引につながる可能性が見えなかったので、なるべく最小限の時間と予算をで目的を達成したかった、というのもあります。

(2)の「微調整できること」は、プロジェクタと広角レンズコンバーターの関係性が全く分からないので、とにかくいろいろな設定でマッチするポイントを見つけられる必要があることと、デモまでの時間が短かったため、何かの拍子でズレてしまっても、即再現できる仕組みであることが求められました。※機材が届いてから2日でデモする必要があった。

(3)の「今後の制作に役立つこと」は、イコール「なるべくデータ化する」ことを心がけました。
ここで、ペーパードーム内に上手く投影できるゴールデンルールみたいなものが見つけられれば、推薦投影環境として紹介できると思ったからです。

(4)は、ガチッと組み込んでしまうと、返すときに返せなくなるからです。
※実際、デモ後すぐに返却することになりました。

以上4点を考慮して、広角レンズコンバーターの投影用アダプターと、プロジェクターの選定を行いました。
で、順番としては、最初にプロジェクターの選定を行いました。

参考にしたのは、すでに定番となっている広角レンズコンバーター「レイノックスDCR-CF187PRO」に合っているプロジェクターのスペックです。ニコプラ部の代表の星風Pさんに、現在ニコプラ部で使っているプロジェクターを教えて貰ったところ、BenQのMH741とW1070+とのことでした。
そこで、この2台の共通点を見つけることにしました。
プロジェクターの比較シートまず全てのBenQのプロジェクターの最短投影距離と投影面積を書き出し&表にして、両者を含めて見比べると、最短投影距離と投影面の高さの比が、ニコプラ部で使っている2台はとも2.04~2.05であることが分かりました。この数字だけが共通点なので、その数字をベースにBenQの全プロジェクターの中から同様の比率のもの&日本国内で新品が手に入るものを探すと、2台しかありませんでした。HT2050とニコプラ部でも使っているMH741です。
もう、ここはギャンブルですが、この2台を候補として伝えることにしました。

すると数日後、我が家に「レイノックスDCR-CF187PRO」と「BenQのプロジェクターHT2050」がやってきました。

ここからは、投影アダプター制作メモです。

1)広角レンズコンバーターを保持する。
丸いものを固定するのは大変。そこで、望遠レンズ用の三脚台に広角レンズコンバーターを挟み込み、その隙間に1mm程度のゴムを入れて、柔らかく保持することにしました。
望遠レンズ用三脚座のレンズ筒内側にゴムを貼る2)三脚台を、インチネジでL字アングルに取り付け、回転しやすく&上下にズラしやすくしました。
三脚座とLアングルをインチネジで留める3)プロジェクターとアダプターを板で固定します。
プロジェクターの底をコピーして天井取り付け器具用の穴の位置を探し出し、ホームセンターで買ってきた1mm厚のアルミ板に穴を開けて、まずは板とプロジェクタを固定。
プロジェクターと板を固定4)次に板とアダプターを固定します。
板にL字アングルの底面を固定。穴は1つにして、回転できるようにしました。
※L字アングルの底部分に見えるコルクは、以前使うときに貼ったもので今回使う為のものではありません。剥がせなかったのでそのまま使っているだけです。
Lアングルの底部を板に留める5)板にクイックリリースを取り付ける。
プロジェクターとコンバーターなどの投影セット一式を三脚に取り付けることで、投影の自由度を上げることにしました。幸い昔日本一でかいと言われていた大きな三脚があるので、そのクイックリリースを、何となくプロジェクターセットの重心に近い場所に取り付けました。
クイックリリースを板に固定これでアダプターは完成です。
6)後は、広角レンズコンバーターの角度、回転角、回転軸の高さ、プロジェクタの左右の回転角、上下の仰角を調整しながら映してみると…ナントカ、ペーパードームの内部に全周映像を投影することが、僕の手でもできる様になりました。
※かろうじて映ったというだけで、正確性には欠けていると思います。
フルドーム内全周投影用アダプターを作ってみた!
デモの様子
デモの様子
デモの様子デモ当日は、Amateras Dome Playerでいくつか360度映像をドーム内に映し、ペーパードームをプレゼン。
高く評価していただき…結果、お仕事に繋げることができました。
デモの様子
デモの様子さて、この装置。デモ終了時には、アルミ板が広角レンズコンバーターの重みで大きく曲がってしまい、投影角度が変化してしまうという大きな欠点が露呈。即日、お蔵入りとなりました。
全体今となっては、プロジェクターを天井に吊るための汎用アダプター(「フリー天吊金具 プロジェクター・ブラケット」と検索すると出てきます)というものが2千円程度で手に入るので、それにLアングルを取り付ければ安定した投影環境が作り出せたと思います。
これから作る人は、その方法をおすすめします。

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