6月にヤマト便の改定があり、僕たちスケール度外視なモノづくりを楽しむ「大きなモノづくり系Maker」が作品を低価格で移動する手段が、ほぼ無くなってしまいました。
※JITBOXは、法人間の配送のみ。
そこで大きなモノづくりを楽しむMakerが、大きな作品を低価格で送る方法のご提案と、それを実現するためのツール「or-ita」をご紹介。
前々からのMake道場のファンのみなさんはご存知な、段ボールを自由自在に折り曲げることができる点線カッター「or-ita」。僕が様々な段ボールオブジェを作る際にガシガシ使ったるのはご存知の通りなのですが、今回のヤマト便の改定により『梱包箱の3辺の合計が2m以下』という悪魔の様な小さな箱にキッカリ作品を納める必要がある方に超オススメしたいツールに浮上しました。
なぜ今猛プッシュするかって?
それは、今週末のMaker Faire Tokyo 2017に出展するでっかいドームを送るのに、すご〜く役立ったからです。
今回僕が出展するのは、高さ2m幅1.7m奥行0.8mの縦型ドームを含む、その投影システムの提案。
最初、JITBOXで送ろうかと思いましたが、受け取り先がNGな上に費用が膨大(往復4.5万!)。ということで佐川さんも検討しましたが、混載便になるので横積みの可能性ありでNG。
結果…ヤマト便で送れるサイズにドームを分割して送れる様に、ドーム自体を再設計。しかも限られたMFTの搬出入時間(わずか1時間!)で組立&セットアップできる様シミュレーションして設計に落とし込みました。
もうね〜本体の設計より大変でした。。。は、置いておいて。。
さて、実際に大きな梱包用の箱を作るには、箱の設計>切り出し加工>梱包ということになります。
が、箱の設計は大変なので、大体が既にある「より大きな箱」を加工してサイズを合わせる、というのが効率的だし、既にあるものを加工するので確実に箱になります。
今回は、いくつか保管しておいた段ボール会社さんから部品を送ってもらった時の箱から大きなもの2つを選択。
送る部品の最大サイズに合わせて、切り取り線と折り曲げ線を箱自体に描いて、何度も確認しながら箱の展開図の輪郭を切り取ります。
その後からがor-itaの出番。
or-itaは、段ボールの表面の紙だけを点線状にカット(実際には中の波板の上部も切り込みが入ります)。普通は中身の波板の目の方向に折り曲がる性質を持つ段ボールを、波板の方向と関係なく、入れた点線にそって折り曲げることができるカッター。なので、長い定規にそってor-itaで点線カットしてから、折り曲げます。
そして、ご安心ください。
裏側の紙には刃が届かないので、その折り目から破れやすくなったりはしませんし、中身が飛び出てしまう心配もありません。
ここでよくある質問「書けないボールペンやヘラやカッターのお尻のとんがった部分で傷つけるのと何が違うの?」ですが、これは、正確な折り目が必要な時に違いが判明します。例えば、段ボールを180度完全に折り返す時には、数ミリ間隔の並行した折り目を入れる必要がありますが、ヘラとかだと途中で1本に合体してしまったりして思った通りに折り返せませんが、or-itaだと入れた点線部分で正確に2箇所の折り目が並行に入りキチッと折り返せるのです。箱は1箇所崩壊するとNGですからね〜結構この正確性が助かります。
さて、このor-itaを使う事で、いくらの配送料を軽減できたかと言うと、JITBOXにくらべ約3.6万も安くあがりました。つまり、山形〜東京の往復の新幹線代が捻出されたのです。まあ、それだけ有れば、もう一つ作れると考えるとMakerには、分かりやすいと思います。
がしかし、うまい話には裏があり…この「or-ita」。なかなかな高額商品。
でも、一度買ってしまえば、まず刃こぼれなど起こしません(以前のモデルは、よく刃が折れました)ので、ほぼズ〜っと使えます。つまり、高いけど早く手に入れて元を取ったほうが賢明なツールかと思います。
それに、僕が使っている様に、段ボールを3D曲線を作る〜などの造形表現の幅を広げてくれる創作ツールとして活用できるのも優れたポイントです。
やたら通販ぽい書き方しましたが…
良いものは良いのでオススメします。というスタンスで、僕に利益はありません。
実際に使ってみないと分からないな〜という人は、今週末のMaker Faire Tokyo 2017の「テアタマ〜ズ!」のブースで試用させて貰えるので、実際に手に取って、その使い心地を確かめてみてください。