Maker Faire Tokyo 2019 のスポンサーの一つ任天堂さんが、僕らのダンボールグループにNintendo LaboのToy-Conを作るチャンスを与えてくれたので、二つ返事でお受けしたものの、ゲームを作るのって大変なのね〜と心から思った、産みの苦しみを久しぶりに味わったモノ作りの記録です。

まず何ができるのか?探る。
VRキットも含めNintendo Laboシリーズは全て持っているのですが、遊ぶためというよりも、ダンボールの組み立て方やデザイン手法を学ぶため〜と考えていたので、組み立てて少し遊んだだけで倉庫にしまっていました。
そのため「Toy-Conをつくる」ということが、新しい遊びを作る=Makeする〜ということに繋がることをあまり考えずに「ダンボールでインタフェース的なモノを作ればOKでは?」と軽く考えていたのでした。
MFTまで1ヶ月半しかなく悩んでいる時間はないので、とにかくいつもSwitchを持ち歩いて隙を見つけてはカバンから出してノードを繋げたり組み合わせを変えたりして、いろいろ試す内にひとつの方向が見えて来ました。
僕が見つけたのは「モノを動かすにはHD振動が良い」ということでした。他にも音声や光をセンサーで感知してArduino経由でサーボ稼働〜という案もありましたが、せっかくなら『誰でも作れる遊びをMakeしたい!』とも思っていたので、標準のSwitch単体で楽しむためには、LとRのJoy-Conに共通に仕込まれたHD振動素子を活用するのが得策だと考えました。
方向が決まれば、HD振動について調べます。
すると以下の情報が見つかりました。
1)学研さんと「HD振動」のヒミツについて調べてみました。
2)Nintendo Switchの分解
3)振動フィードバックデバイス ハプティック® リアクタ
4)ニンテンドースイッチのコントローラの振動モーターをArduinoで制御(というほどではないけど)してみた
上記(2)の写真をよく良く見ると(3)の振動素子とソックリなので、たぶんコレかな〜と思ったら(4)ではArduinoで遊んでいる人もいました。
ポイントは(3)の振動が2方向になる事と(2)の写真にある様にJoy-Conへの格納のされ方。その振動を最大限に外に取り出しモノに伝えるための形をデザインすると、より振動を積極的に楽しむことが出来るのでは?と思ったわけです。
なんと中間チェックが……….。
7月半ばに、多分展示スペースを確保する関係でだと思いますが、どんなモノが出来上がってくるのか?任天堂さんにスケッチを出す事になりました。以下がこの時に出したアイデアスケッチです。


そうなんです。MFTまで2週間ないのに、まだ作るとこまで行ってないんです。。。
慌ててハードウェアスケッチをはじめました。
スケッチを出した3つを、まずは隙間の時間を使ってハードウェアスケッチ(動作や機能の検証のための形のスケッチ)をします。

ハードウェアスケッチして検証したところ「ワールドウォッチ」は思った様に輪っかが回ってくれず物理的にNGに。そして「黒ネコ箱」は箱自体の重さを避ける構造を作って〜と作り込みの精度が相当高くNGに。そして「ブルブルかみ相撲」だけが、簡単に作れるかつ新しい楽しさを作れるかも?=みんながMakeできるかも?ということで、実際に作ることが決まったのでした。※MFTの3日前です。。。
作る上で心がけたこと
まずは、振動を最大限土俵に伝えるためにJoy-Conを手で持つ部分と振動する部分の2つに分けて、Joy-Conの上下を逆さまにして、振動素子が仕込まれている部分を上に来る様にして、その振動を最大限伝える様にキツめにダンボールが嵌る様にします。次に手に持つ下の部分は、しっかり手で握ってしまうと振動が吸収されてしまうと考え、宙に浮く感じで持つ感じで、直に手に振動が行かない様な構造を考えました。
これは、どこの家にもあるトイレットペーパーの芯が、ちょうど良い感じのサイズだったので採用され、芯に切れ込みを入れてJoy-Conを保持する形にしました。

この構造、結構良くできていて、あまり強く握ると潰れてしまうので、自然と握り手が優しくなる感じになっています。自分で言うのも何ですが、よく前日に思いついたな〜と思う「追い込まれると強いタイプ」の本領を発揮した気がしました(笑)。
Nintendo Laboの気軽さ
さてプログラムですが、これはとても単純で…R(みぎ)のJoy-Conが傾くとL(ひだり)のJoy-Conが振動する。というのを組んで、その逆も組んで終了です。
少し相撲っぽさを出したかったので、行きの新幹線の中で「見合って、ハッケヨイのこった!」感を出すために、互いの空いている手でSwitchの画面を触ると勝負がスタートする様にしてみました。※後で思いましたが、この仕組み無い方が分かり易かったかも?とも思いました。
ただこの時…もうホントに隙間の時間で遊びを作れる感じは、Nintendo Laboの良いところなのかな〜と身を持って感じたのでした。
反省点

肝心の力士の「倒れやすさ」を設計する時間が無かったのが悔やまれます。MFTの会場に展示されていた力士は立てるのも難しい感じだったので、みんな最初から四つん這いにして土俵から落ちるまでが勝負〜みたいになっていました。(ホントは倒れたらor土俵から落ちたら負けにしたかった)
いやしかし、久しぶりに脳に汗かいた感じで、苦しくとも楽しい時間が過ごせたことをとても感謝しています。こうした他のカテゴリーに入り込んでモノ作りに励むのは結構勢いがないと経験できないことなので、その「夏休みの工作的機会」を与えてくれた任天堂さんには感謝しきりです。また機会あれば挑戦したいですね。
簡単なアンケートに答えると「ブルブルかみ相撲」の図面PDFがダウンロードできます。


アンケートに答えてブルブルかみ相撲の図面PDFをダウンロードする
なお、土俵スティックの作り方に関するサポートなどは特にありません。写真を見較べるなどして頑張って作ってみてくださいね。またこれを作って装着して遊んだ事で機器などに問題が起きても責任は取りません。その辺りご了承の方のみ作って遊んでみてください。
プログラムはこんな感じです

「ハッケヨイ残った!」みたいに、互いに土俵に手を着いた時にゲームがスタートする様に、左上の両方のタッチブロックをそれぞれの対戦相手の指がタッチしている間だけ音楽が鳴って勝負できます。
自分の持っているJOYCONを傾けると、相手のJOYCONが振動する仕組みが右上方面。ちなみに振動が一番大きく感じられる=相撲に最適なのは172〜181位の周波数みたいです。

また、硬直状態でも定期的に両方のJOYCONが同時振動する仕組みを右下方面に置いています。その定期的な動きは、カウンターを使って組んでいます。
上の動画の右下あたりの「まわる」で光を回して、スポイトの上をその光が通過した時に振動する様にしています。時間というか周期は「まわる」手前のカウンターで、下の様に設定しています。回転する光の棒とスポイトの位置関係で設定しても面白いですね。

ちなみに、お気づきかと思いますが… MFTの時のバージョンよりも簡単にしてノードを見やすく整理しています。
Nintendo Laboはシェアできるとイイのにな〜
これ書いてて一番思うのは、Nintendo Laboで組んだものはシェアが難しいこと。というかほぼ出来ないことですね。画面キャプチャも大きさに制限があるし、本体から保存ファイルを取り出せないし…何か良い方法はないでしょうかね?
まあ、何とか取り組んで又は参考にして遊んでいただければ幸いです。
みんなで作って、良い力士が作れたら教えてください。僕もいい感じの力士を作って遊んでみたいです。ではでは、Enjoy Making!! with nintendo labo
