VRテレビを作ったよ!&ありがとう〜Maker Faire Tokyo 2017! #MakerFaireTokyo2017 #MFT2017

ありがとう〜!Maker Faire Tokyo 2017先週末、小さな子供からお年を召した方まで、誰でも手軽にVRを楽しめる「VRテレビ」を作って、Maker Faire Tokyo 2017 に展示してきました。
今回は、そのmakingをお伝えします。

ありがとう〜!Maker Faire Tokyo 2017

キッカケは…

いま全盛期を迎えている、VRを楽しむためのHMD(ヘッドマウンテッドディスプレイ=ゴーグルタイプのディスプレイ)タイプのVRゴーグルは、13歳以下の子供達は健康問題を理由に利用が制限されることあります。また お年を召した方や体の自由が効かない方々は、身体への負荷の影響で装着もままならないことがあります。

また、見知らぬ誰かが使ったHMDを触れるのをためらう場合(僕はそうです)や、両目を塞ぐ間のセキュリティの問題(特に女性)など、様々な理由でHMDタイプのVRゴーグルを使いたくない&使えない人たちが意外と沢山います。

そうした人たちにも、手軽にVRコンテンツを楽しめる様なディスプレイを作りたい!ということから、開発をスタートさせました。

ありがとう〜!Maker Faire Tokyo 2017

開発方針

臨場感があって、何も装着せずにみんなで楽しめるVRディスプレイは、ドーム型を基本に考えました。理由は、僕が開発&販売している段ボール製ドーム型スクリーン「ペーパードーム( https://paper-dome.com/ )」が使えれば、開発スピードが早まるからです。

また、昨年のMFT2016で作った、人が入って鑑賞する全周投影型は、会場となる東京ビックサイトの消防上の理由で、作っても展示できない可能性が多々あると思い、人が入る必要がない&覗き込むまたは普通に見るスタンドタイプのドームにすることにしました。
※ドーム内にプロジェクターを収めるため、万一のことを考え「防炎段ボール」で作りました。
ありがとう〜!Maker Faire Tokyo 2017そして、これが一番の肝なのですが…
プロジェクタを1台&セッティングが簡単&コンテンツ作りも容易〜な、誰でも手軽にコンテンツ作りに参加できる、今が旬の360度カメラの映像を、何の加工もせずに投影できる様に「シンプル」を前提に、開発を進めることにしました。

道のり

4月ころ

ニコニコ動画プラネタリウムの実験会に持ち込んだ1.8mの半球ドームまずは、そもそもドーム内に1つのプロジェクタにホントに投影できるのか?を、この目で確かめることにしました。
昨年作ったままの失敗作の直径1.8mのドームを倉庫から持ち出し、半球ドームにしてニコニコプラネタリウム部(以降、ニコプラ部)の実験会に持ち込んで、ニコプラ部の設備で投影できることを確認しました。

確かに1つのプロジェクタで、1つの広角レンズコンバーターを組み合わせることで、綺麗に全周映像が半球ドーム内に投影されていました。
この組み合わせ「フルHDプロジェクタ+広角レンズコンバーター+パソコン+Amateras Dome Player(ドーム映像投影用ソフト)」は、多くのドーム内映像投影の標準的な仕組みとなっていて、広く使われている様です。

この仕組みの問題点は、高価な広角レンズコンバーターと、プロジェクタの投影口の位置関係を正確に合わせる台座が必要なことと、ソフトやパソコンが必要なことで、なかなかお手軽ではありません。
と悩んでいたら、ニコプラ部の星風Pさんが、半球ミラーで投影する方法もあることを教えてくれました。
半球ミラーなら、万引き防止のセキュリティミラーや装飾用のアクリルミラーなど、意外と手に入れやすいかも?と思いました。(← 気ずき1)

5月ころ

部屋に設置した半球ドーム実験会から持ち帰った半球ドームに、家にあった直径30cmくらいの半球アクリルドームと、これまた家にあった(と言っても昨年MFTのために買ったレンタル落ちのプロジェクタ)を使って投影してみたところ…

球面ミラーでドーム内投影できました!PCにインストールしたAmateras Dome Playerを使えば、思ったよりも綺麗に全周映像が投影されることが分かりました。部屋を暗くすれば十分実用なのでは?と思えるレベルでした。

学研さんの「ピンホール式プラネタリウム」で、部屋に宇宙が!学研さんの「ピンホール式プラネタリウム」で投影してみたら、天の川まで映し出されてしまいました!

邪魔だから、半球ドームを立てて投影してみたら...仕事の邪魔なので半球ドームを立てることにしたのですが…
せっかくの機会なので半球ドームを立てた状態で投影してみたところ、Amateras Dome Playerで変換したドーム映像は違和感アリアリでしたが、Youtubeの360度映像やGoProで取ったPOV(Person of View = 当事者目線の映像)だと、結構自然に見えることを発見しました。(← 気ずき2)

しかしテストに使った1.8mドームは、立てかけると上下が潰れた様な形に変形してしまい、毎回同じ様に投影できる訳ではありませんでした。これでは、MFTの会場での調整に時間がかかることが考えられます。

そこでドームの開口部を、ペーパードーム( https://paper-dome.com/ )で開発した平面カット型の積層段ボールフレームを用いて、形が潰れない様にした縦型スタンドタイプのドームを作ることにしました。

この辺で、ちょうどMaker Faire Tokyo 2017の申し込み期限が迫っていたので、新しく作るスタンドタイプのドームと、そのドーム内に1台のプロジェクタ&半球ミラーで投影するシステムを開発して展示することにしました。

7月半ばころ

6月は何もできず…7月の半ばに時間ができたので、図面を起こしてドームの設計&試作を行うことにしました。
最初CGで起こした「VRテレビ」のイメージドームを試作するにあたりペーパードームの生産委託先の段ボール屋さんに相談したところ、サポートしていただける旨のお言葉をいただき、大阪の段ボール会社「株式会社美販」( http://www.bihan.jp/ )さんに、ドーム制作のスポンサーになっていただきました。

美販さんは、いつも正確なカットをお願いしているので、時間のない中で試作をお願いするのに欠かせないパートナー企業さんです。今回も、その技量を多いに発揮していただき…さらに夏休み前の忙しい中、無茶なお願いを聞いていただきとても助かりました。

さて、ドーム設計の際に心がけたことは、
1)MFTの自分が搬入に使える時間が1時間しかないことから、組立&解体時間がそれぞれ45分、光学系の設定が15分の、合計1時間でセッティングが完了する構造にすること。

2)配送料をなるべく安くすること。

の2点。
特に(2)は、ヤマト便の価格改定&サイズ改定で、外箱の大きさが3辺合計で最大2メートルである必要があり、難儀を極めました。が、パズルの様な図面を描くことで…なんとかなりました。

次は投影の仕組みです。
VRテレビの投影の仕組みこれまでの「気ずき1」「気ずき2」から、ソフトによる変換の手間なしで、Youtubeの360度動画や最近流行って来た360度撮影ができるカメラの画像や映像を、そのまま投影して楽しむことができる「お気軽VRビューワー」を作ることに決めました。

仕組みは、プロジェクタから出る映像をミラーでドーム内に拡散投影するだけ!という簡単なものを考えました。

この時点で、MFT申し込み時の展示作品名「VRウインドウ」ではなくなり『VRテレビ』に名前を変えようと思ってMFT事務局に相談してみましたが、変更不可ということで、HPや看板の名前は「VRウインドウ」ですが、気分的には『VRテレビ』として開発を続けることにしました。

MFT直前

試作ドーム5月に実験していたので、スイカを4つに割ったミカンの房の様な形のアクリルミラーを用意し、試作したドームの中に入れて…
プロジェクターの光を反射させ、ドーム全体に投影することができる形を、ミラーの位置を動かしたり、プロジェクターの角度を変えたり試行錯誤しながら探ります。

よく見ると、半球は必要ない感じすると、プロジェクターの光が鏡に当たって反射する部分は、実際はとても狭いことがわかり、不要な部分を切り取って、なるべくプロジェクターから鏡までの距離を稼ぐことにしました。

鏡を刻んでいきます。
何となく良い感じに出るところを捕まえます。いろいろ実験した後、ちょうど良い見え方のサイズと位置関係が見つかったので、そのまま鏡を固定して、プロジェクターの位置も固定して、MFTの会場でのセッティングが簡単になるように工夫して完成です。

or-itaを使った、大きな作品の梱包例急ぎ梱包したら、計算通りドーム単体では3辺の合計が2mピッタリに!
そして、もう一箱はプロジェクターの台となるプロジェクター入れ&色々な小物入れにして、たった2箱で配送できたのでした!
※ちなみに送料は、山形から東京で約4,500円でした。

 この梱包の苦労話は、
 こちらに書きました>「大きな作品を送る方法を作ろう!

MFT当日

無事搬入&設計どおりの1時間でセットアップされた「VRテレビ」は、1日目は子供がデモしてくれたのですが、なかなか好評だった様です。
そして2日目は朝から僕がデモしていましたが、大きいのと形が目立つのとで、なかなか良い印象を持っていただけた様でした。


映像を見るとお分かりの通り、やはり幾つかの問題点も見つかりました。
1)会場が明るかったので…投影画像が見難かった。
 明るくてもコレだけ見えるんですね〜と驚く人の方が多かったです。

2)用意したデモ映像が汚かった。
 2世代前のTHETAの動画&手持ち撮影なので止むなしです。
 今度出るTHETA買います。。。

3)ピントが下の方しか合ってなかった。
 アクリルミラーの特性っぽいので、表面鏡に変えれば改善できると思います。

VRTV in Maker Faire Tokyo 2017ただ、多くの人の意見では、
1)こんな単純な方法でドーム投影できるんだ!

2)何も処理しないで、360度カメラで撮ったままの映像を投影できるのは凄い!

3)このドームが欲しい!

など、比較的好意的なご意見をお聞かせいただけました。
※興味ない人は最初から声を掛けて来ませんしね。

次のステップ

1)キレイなデモ映像を用意する
 これはカメラを買い換えればよいだけなので、誰でもできるから後回しですね。
 と言いながら、今度出るTHETA買って撮ります。

2)表面鏡を作る
 半球状の表面鏡は、国内外で1〜2社が作っているだけで、超高価です。
 作るか、代用品を加工するかして用意したいです。

3)ドームを、もっと簡単にする
 ペーパードームの組立スタッフ2人で45分は、一般の人だと2人で90分くらい。
 普通の人が30分で組み立てられる様にしたいものです。
 うまくできたら、ペーパードーム( https://paper-dome.com/ )で販売したいと思います。

まとめ

もう何回目か?
自分でも数えていないMaker Faireは、毎年僕の人生の次のステップのきっかけを与えてくれます。

今年は、新しい分野への挑戦だったのですが、また「MFTに向けて作る」ことで、自分のスキルと守備範囲が広がり、そして多くの人たちとの会話で様々なヒントを得ることができました。
僕のつくった「VRテレビ」が、誰かの何らかの作るキッカケになればいいな〜と心から思った、今年のMaker Faire Tokyo 2017でした。

超〜大変でしたが、スッゴク楽しかったです!
また、来年もみなさんと会える様に、もっともっと「自分が楽しいもの」作ろうと思います。

ではでは最後に『ありがとう〜Maker Faire Tokyo 2017!』

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