Maker Faire Tokyo 2020に「どこでもドア」出してみた!

ヒゲキタさん(@higekita1)のシロちゃんとMakerくん+3+7

COVID-19の嵐が少し収まってきた感ある10/3,4の両日、東京ビックサイトで開催されたMaker Faire Tokyo 2020に出展してきました。

今年はここ数年お任せいただいたダンボールゾーンではなく、久しぶりのmake道場での出展となりました。でそのプロジェクトタイトルは「”どこでもドア”できた」です。

全周360°投影されたドームの内部

「どこでもドア」みたいのを作った訳

春から東京に進学した筈の上の子の部屋が既に下の子に明け渡され、家に部屋がない中オンラインラーニングしているのを不憫に思っていた時、出展予定だったMaker Faire Kyoto 2020のオンライン開催のタイミングが重なったことで「テレワーク用ドーム」を作って参加しました。

以前のMaker Faire Kyoto 2020の時の投影の様子

この時はダンボール製ドームの外側からプロジェクタの映像を投影していたため中で仕事している人の影が邪魔でしたが、今回はその発展版として中の人の影が落ちることなしに全周360°投影を実現して自分がさもその場に居る様に感じながら仕事ができる、まるで「どこでもドア」な仕組みを目指しました。

今回のMaker Faire Tokyo 2020の投影の様子

また、かつてNHKでやっていたTVアニメ「未来少年コナン(監督:宮崎駿、1978)」の第23話(ちょうど昨日(10/12)が再放送でした)で見た、インダストリアの三角塔内部にあるスイッチひとつで様々に環境を変えられる”公園”のシーンが脳裏に焼き付いていて…いつか作ってみたいと思っていたので、この機会に「ぽいもの」を作ることにしました。

全体構成(用意したもの)

COVID-19対策として口頭説明をへらす目的で急遽前日に描いたポスターです。

全周囲360°グルリとプロジェクタによる投影が可能な自立式のドーム型スクリーン

自分の会社で作っている段ボール製ドーム型スクリーン=ペーパードーム「FD180」 をベースに、スプリンクラーの散水障害にならない様天井に開口部を設け、その開口部からプロジェクタの投影ができる様に改造したものです。

全周囲360°、隣同士の投影映像が途切れることなくグルリと投影できる3台の短焦点プロジェクタと、それらプロジェクタを支える構造フレーム

産業用アルミフレームを好きな角度で結束できる(今回は60°)コネクタを設計し3Dプリント。フレーム同士を一体化することで安定した投影ができる様にしました。

プロジェクタを好きな角度で固定できる簡易可変雲台とプロジェクタ自体を上下逆さまに固定できる様に固定具を設計制作し、固定したアルミフレームと組み合わせて安定した投影環境を作成。

プロジェクタは、ヤフオクで7千から9千円くらいで入手できる短焦点プロジェクタを複数台同一機種で入手(今回4台纏めて一気に落札!)。上下逆さまで投影する「天吊モード」に設定して使用。

ディスプレイコネクタ

複数台のディスプレイを1台のディスプレイとしてPCに認識させることができる特殊なディスプレイコネクタ「Matrox Triplehead2GO DP」をメルカリで1.5万ほどで入手。コネクターとケーブルを選ぶ癖の強いデバイスでコレに認識させるためだけに結構な数のHDMIケーブルと、DPとHDMIの変換コネクタを追加購入した覚えがあります。

投影のためのソフト

オープンソースのプロジェクション用ソフト「OMNIDOME(OSX)」 を使用。以前参加したMFT2016でも使っています。

また動画をSyphonで発信できるビデオプレイヤーソフト「VLCSyphon」(古いバージョンでしか動かないのでインストール後updateしません。ちなみに不安定です)で360度動画をEquirectangular(エクイレクタングラー形式)で再生&発信します。

投影映像

THETAなどの360°全周囲映像の撮影が可能なカメラで撮影したEquirectangular(エクイレクタングラー形式)映像を使用。今回は3年前シアトルのアマゾン本社のドームが出来た時に撮ってきた360°動画と、先月諏訪に行った際に撮ってきた藤森さんの建築を幾つか収めた360°動画を用意しました。

投影までの流れ

1)OMNIDOMEで、仮想ドームを作成し同じく3台の仮想プロジェクタが投影する画像を1枚の画像になるように調整します。※この工程は細かいので、興味ある方は後日公開するペーパードームの公式HPの記事を参照ください。

調整の詳細はペーパードームの記事を参照ください。https://paper-dome.com/information/

2)VLCSyphonで360°動画を再生するとSyphonで送信されます。(これ非常にわかりにくいですが、ラジオの放送局みたいな感じで音楽を電波で送信しているとイメージしてください)

3)OMNIDOMEでSyphonを読み込むことで(2)の動画が受信されてドーム内に投影されます。((2)のラジオの放送局から発信された電波がラジオで受信されるようにOMNIDOME側で受信して音楽が流れる~という感じです。ここまで書いて「ラジオって何?」と思われた方はお年を召した方に聞いてください。。。)

ざっくりと今回Makeしたものを紹介しましたが、実は今回のMFTが最も大変だった気がしています。その理由はもちろんCOVID-19が主要因ではあるのですが…

大変だった訳 その1=ちょうどCOVID-19の影響が薄れて来たことから仕事量が増大し始めたタイミングと、自身の会社の決算時期(9/30締)がMFT2020と見事に重なった。

393~

大変だった訳 その2=家族4人で参加予定でしたが、直前で家人が体調不良となり大事をとって自分と子供の2人だけの参加となりました。そのため3時間程度ですべてのセットアップができる様に準備する必要がありました。※実際にはみんなのダンボールマン1号(小仙さん)とダンボールマン3号(サンちゃん)に手伝っていただきギリギリ間に合いました。ありがとう~みんなのダンボールマン!

大変だった訳 その3=なんとMFK2020の時に作ったドーナツ型テーブルを玄関先に忘れる~という愚行を犯し、ドーム内でテレワーク体験やGoogle Street ViewやGoogle Earthをインタラクティブに操作体験=歩行体験できる筈だったのですが、それらが全くできなくなりました。ただし不幸中の幸いかCOVID-19の影響でユーザに直接操作していただく~などの行為をなるべく控える傾向にあった展示会場の空気を読み、360°映像を連続再生するという受動的な空間体験に展示内容自体を切り替えて対応しました。

大変だった訳 その4=新しく導入したドーム投影用ソフトを使って投影する予定でしたが、ギリギリまで調整を試みても安定稼働せず直前に諦め、以前使ったオープンソースのOMNIDOME(OSX)を使うことにしました。がMACは数年前からメインで使っていなかったため古いMAC(MBP MID2014)を引っ張り出して慌てて再セットアップして~とバタバタした関係で設営日の夜も調整し続けて何とか間に合いました。が、流石に6年前のマシンは複数台投影の処理に使うには厳しく…秒間3コマ程度のパラパラ動画になってしまった上に頻繁に落ちる~という事態を生み出し続けました。。。

体験した人の声と今後のヒント

1)注視点が視界と一緒に動いてしまうHMDタイプのVR体験デバイスと異なり、視界の端にチラ見した「何か」にプチ注目することができるので「見逃し」がなくなるとのお話がありました。これはVRや360°動画を体験するツールとして、ゴーグルタイプとドームタイプの棲み分けを示唆する意見に思いました。例えば意識することなく漠然と、または何かに注目するというよりも空間を感じるためなどのある程度受動的に体験したい場合はドームタイプを、ゲームや探索などの能動的に体験したい場合はHMDなどのゴーグルタイプを利用するなどです。

2)一人の女の子が言った「楽ちん~」という言葉が次へのヒントになるかも?と思っています。行けないから言った気分になる、行った気になる、そこにいる気持ちになる。など思っていましたが、自分の代わりに勝手に歩き回って色々見せてくれることを「楽(らく)」と思うことに気が付かされたからです。もっと自由に視点が変えられれば、行きたい方向に勧められればと、インタラクティブな自由さを加味した方が良いかな?と思っていた自分には無い発想だったからです。ひょっとしたらテレビの様にある種受け身のメディアとなる可能性があるのかな?と思いました。

3)漫画ドラえもんの「どこでもドア」を思い描いていた子供達から漏れた「思ってたのと違う」という声がチクチク刺さりました。時間があればドアまで作りたかったですね。

4)今回の歩き回って撮影した360°動画ではなく、バスや船や電車などの進行方向が定まった動画だと安心してグルグル見回せるので良いのでは?とゴーグルタイプのHMDデバイスではVR酔いする~という方からご意見いただきました。今回のPC性能(MBP MID2014)では3コマ/秒程度だったのですがコマ数が増えるともっとその傾向は高くなると思われます。以前ベルギーで投影した際も小さなドームには小さなドームに適したコンテンツがあるのでは?と感じていたところなので、この辺りは小型ドームに適したコンテンツを探す必要を感じています。色々撮影&投影して試してみたいと思いました。

5)「忙しい。もっとゆっくり歩いて欲しい」とのご意見にはごもっともと深く同意してしまいました。今回撮った動画は2本とも、小さなドームでの投影を考えたというよりもHMDタイプのVRゴーグルで見る旅の思い出的なスナップとして撮ったものでした。小さなドーム向けには、またそれとは異なるユックリとしたテンポの撮影が必要に思いました。そう言えば、僕も家でこのドームを仕事に使っている時には動きの激しい360°動画ではなく、ほぼほぼ静止画の様な森の中や滝のある風景などのYOUTUBE動画を流しています。理由は「気が散るから」なのですが、全周投影するコンテンツは動画である必要があるか?とも思いました。下手すると昔使っていたフイルム時代のスライドプロジェクターでも電力的にも良いのかも?と思っている位です。この辺りも小型ドームに適したコンテンツという点で検討したいところです。

まとめ

今回は空間を感じられる=高い没入感などが感じられるレベルの展示には至りませんでした。正直「こうやれば皆も作れる」という例を示しただけだと思っています。

もしピンクのドアまで作れれば、もっと「どこでもドア」感が演出できたかもしれませんが、今回はホント時間的にギリギリで(出展辞退も考えた)で詰が甘かったな~と少し反省もしています。でもCOVID-19の影響下でもそれぞれの「Make」が楽しめることは表現できた気はします。だから楽しかったですし、少し忘れかけていた自分自身が「Make」する気持ちを思い出せた良い機会となりました。

お礼

今回も、自社製品「ペーパードーム」の生産過程で正確無比なカッティングを発揮している大阪のダンボール加工会社「美販」さんにFD180用のカスタムパーツの制作をご協力いただきました。いつもの寸分違わないカッティングで難しい投影環境の構築に貢献していただきました。ありがとうございました。

またMaker Faire Tokyo 2020の運営スタッフおよびスポンサーや関係者の皆々様。先の見通せない中での実イベントの開催には多大な苦労と尽力されたかと思います。出てよかった!という声も届いてきていると思いますが、改めて開催していただき誠にありがとうございました!

今年は特に諸々厳しかったのですが、微力ながらMakeの火を絶やさず引き継ぎながら少しでも拡げるお手伝いができれば幸いです。今は全てのワークショップ活動をお休みしている「make道場」も少し先になるかと思いますがリアルなワークショップも少しずつ再開できれば良いな~と思っています。Maker Faire Tokyo 2020 ありがとうございました!

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